25歳のころに持病のアトピー性皮膚炎が全身にかなりの深刻さで広がり、出勤だけでもかなりのつらさがありました。当時は仕事が忙しく、休みもあまりなかったのがさらにアトピー性皮膚炎の病状を悪化させる要因になったと思います。それまでは何とかステロイドなどの薬で押さえていましたが、それがおさまらなくなってきて、ゾンビのようなひどい皮膚になってしまったのを今も思い出すとぞっとします。全身の失神から浸出液がでてきて、スーツもくっついてしまう状態で本当につらかったです。
アトピー性皮膚炎の治療は、個人クリニックに毎週通って行っていました。仕事が忙しいときは数時間の休みをもらってでかけることもありました。最近どんどん悪化してきていて日常生活もつらいし死にたいと言うと、先生も病状を見かねて大学病院への入院手続きのための書類を書いてくれました。
その後、指定の大学病院へ行って、診察を受けました。最初に入院の期間は2~3週間程度で、その間に強めのステロイドによる治療を行うといった治療の方針の説明がありました。初診の直後も重症な肌を見て、すぐに処置室でステロイドを塗布してもらえました。病院から入院期間は2~3週間という話をされたのを受けて会社に休みをもらい、入院に入りました。上司も理解をしてくれて、同僚も協力的だったのが本当に救いでした。
入院する前日、私は一人暮らしだったので、入院の際に持って行く着替えやタオルなどを新しく用意し、パソコンが好きだったのでノートパソコンを購入したりしました。今思うと、アトピー性皮膚炎の病状はかなり苦しく全身が湿疹だらけで動くのもつらかったのに、遠足の準備をしているような楽しさがあったのが不思議と笑えます。
実際それまでは仕事が忙しくて終電に間に合えばラッキーという時期も数週間続いていたので、これでゆっくり休むことができるという気持ちも強かったのだと思います。入院した次の日、朝の食事を終えてひまなのでお日様の照っている廊下を歩いたり、庭のような場所でのんびりしていると、今までの地獄のような忙しい世界から天国にでもやってきたような不思議な気分になりました。今までは時間に追われるような生活で、身体はかゆみが強く辛かったのですが、薬で抑えられているのもあり、治療をちゃんとすればこんなに心身ともに楽なのかと心から感じられました。
ベッドに戻っては好きなプログラミングをノートパソコンでしたり、体はつらかったけれど、精神的にかなりゆっくりすることができました。薬のおかげか予定の2週間と数日で無事に退院できる状態になりました。体もですが、それ以上に精神的に休むことの効果に驚いた日々でした。
入院中、夜中にトイレに行くときなどは怖かったです。夜の病院というのは何とも独特な雰囲気があり、本当に幽霊が存在するような感覚になっていて、用をたしている間など背中に気配を感じたりしてとても怖かったことを覚えています。そのあと、ベッドに戻るととてもほっとしましたし、ナースステーションの明かりがとても心強かったです。あと、ほかに将来的な不安でいつも不安でした。アトピー性皮膚炎については相談できても、精神的な問題は相談できなかったのでそこがつらかったです。
もしも、今一時的に強いステロイドで治ったとしても、またとても忙しい職場に戻ればすぐに病状が悪化してしまうのではないかといった不安にいつも悩まされました。しかし、体が元気になって退院したときは、とてもすがすがしい気分で、何とかなるさという気持ちになれました。2週間と数日というまとまった期間、体と心を休めたことで、こんなにも世界が輝いて見えるのかと感動しました。